★ グロシアバーラ

 女子の団体競技をやるというのは以前から構想にあり
まして、当初は普通にバレーボールを考えていました。
で、バレーボールだと6人必要なので、主人公側は今回
のメンバーにバステトを加えた6人で考えていたのですが、
逆にギリシャ側で6人揃えるのが難しくて、それなら5人
の球技はないかと探す事になったわけです。
 そこで、ネット上で「古代」「球技」等で検索をかけてみ
たところ、、「ファウストボール」という聞き慣れない球技
が出てきました。「ファウスト」はドイツ語で「拳」という意
味になるそうですが、今回のグロシアバーラはこれを元
に作った架空の球技という事になっています。
 ネット上ではファウストボールの動画も公開されてまし
たが、なかなかスピード感があり、また本編でもあったよ
うに自陣でバウンドをさせても良いという事で、いろいろ
作戦を組み立てられる、エキサイティングで奥深い球技
のように感じました。残念ながら、本編ではその魅力を
お伝えするところまでは出来ませんでしたが、興味のあ
る方は調べてみてはいかがでしょうか。

 
 

★ お蔵入りの設定たち

 今回も、当初の構想からカットされたシーンがいくつ
かありました。
 まず、ガブリエルが「穴」という設定ですが、本来は
試合前にギリシャ側が偵察を放ち、ガブリエルが穴ら
しいという情報を得たものの、当人は試合当日にきっ
ちり修正してきて、「話が違う!」みたいな展開になる
予定でした。しかし、そもそも偵察に適したキャラがギ
リシャ側におらず、アテナが聖鳥のフクロウを使うとい
うアイデアもあったものの、結局は分量の都合で今回
のような試合中の出来事に変更となりました。
 そして、何よりも惜しまれるカット要素は、女神ニケの
設定でしょう。キャラ絵を見ると手にノートのような物を
持ってるのがわかると思いますが、これは当初、試合
中にニケが両チームの採点をするという設定があった
からなのです。「笑顔80点」「審判への態度60点」等々、
勝敗には影響しないものの、とにかく自分なりに思うと
ころをノートに書き記すというキャラ設定を考えていた
のですが、これも余裕がなくてお蔵入り。絵だけがその
まま残ってしまったという、何とも残念な結果となりまし
た。
 その他、アジアチームの特訓シーンとか、審判のゼウ
スとの絡みとか、いろいろ描きたいシーンはあったんで
すけどねえ。残念。

★ ディレクターズカット

 正直、思いついたはいいけど実現可能なのだろうか?
と、不安いっぱいの女子球技話でしたが、病院の長い
待ち時間に次々とアイデアが湧いてきて、思ったよりも
形になった気がします。
 ただ、意外と分量があったため、前述のようにカット要
素が多かったのも事実です。5対5の球技なので、それ
ぞれがボールを持つのを描写していくと、どんどん行数
を消費するという。
 以前も少し触れましたが、作者は第三部以降は一章
あたりの行数に制限を設けているので、それを超えない
ようにうまくまとめる努力をしています。そのため、そこ
に収まりそうにない場合は、涙を呑んでバッサリ切り捨
てる事も増えてきました。
 よく映画にディレクターズカットというのがありますが、
自分が作品を作る立場になって観てみると、確かにカ
ットするならここだよなと納得がいくようになるんですよ
ね。「もう一つのエンディング」とかもそうですが、やっぱ
り作品のテーマをきちんと把握している人は、切り捨て
る箇所をわかってるなあといつも感心しています。
 自分も思いついたアイデアが日の目をみないのは残
念ですが、それによって最も伝えたいものがぼやけて
しまっては意味がないので、そこはこれからも容赦なく
カットして、代わりに制作秘話でボソッと呟いていこうと
思います。