★ 邪神?シペ・トテック

 アステカの神話や宗教を調査していく中で、一番
気分が悪くなったのがこのシペ・トテック神の儀式
でした。捕虜の皮を剥いで、それが腐り落ちるまで
身に着けるとか、悪趣味もいいところでしょう。それ
に捕虜だけじゃなく、ある国王が娘の嫁ぎ先の国
に招待されたら、娘の皮を着た神官がいるのを見
て怒り狂ったみたいな話も読みました。こういうの
があると、さすがに侵略する側が「悪魔」呼ばわり
するのも最もだという気がしてきます。
 ただ、このメキシコ編ではアステカを単純な「悪」
にはしたくなかったので、この厄介な神をどう扱え
ばよいか本当に頭を悩ませました。出さないとい
う選択肢もあったんですが、アステカではそこそこ
有名な神だし、それはそれで作者の負けのような
気もしまして。
 結果、シペ・トテック自身はそういう儀式を求め
る邪神ではなく、あくまでも人間側が生み出した
ものにすぎないという話に落ち着きました。邪神
だったシペ・トテックが復活を機に改心したという
案もありましたが、さすがにそれだと素直すぎる
気もしたので。

 
 

★ 2番手だったマルドゥーク

 ミクトランテクトリとの戦いは、当初はマルドゥー
クが2番手に登場して倒れてしまい、最後はベリ
アルとマルコシアスでクリアするという予定でした。
ベリアルもレギュラーキャラなので、ここらで活躍
の場を用意しないといけないなと。
 しかし、これには二つの問題がありました。一つ
は本編中にもありましたが、神であるマルドゥーク
は肉体を持つので、霊と肉体を分離してしまうと
死んでしまうのではないかという事。他の連中は
霊的存在なので、そのまま頭蓋骨に封印されて
も元に戻れそうですが、マルドゥークはそうはい
かないのでは?と。そして、もう一つは、せっかく
改心したマルドゥークに見せ場が無いという事。
 というわけで、最終的にはマルドゥークを残す方
針に変更し、逆にベリアルを早期に敗退させる事
になりました。レギュラーキャラを、しかも正体が
明かされ実力者だとわかっているキャラを敗退さ
せるのは気が進みませんでしたが、そんな状況
も楽しめるという彼の性格が幸いして、そこそこ
納得のいくシチュエーションになったのではない
かと思ってます。

★ 聖書偽典の世界

 唯一神の天界については、スラブ語エノク書とい
うものを参考にしました。これは、エノクという義人
が天使に案内されて、七層に分かれた天界を訪
れるという内容になっています。エノク書は聖書の
「偽典」に分類されるもので、天界の様子や堕天
使の由来など、ファンタジーファン垂涎のネタのほ
とんどはこの偽典と呼ばれるものに収録されてい
ます。天界については、他にもギリシャ語バルク
黙示録という偽典に、五層の天界の様子が記述
されています。
 ちなみに、偽典そのものの資料はなかなか見つ
からず、今回は過去に大学の図書館でコピーして
あったものを参考にしました。過去の自分ナイス!
ただ、第五天で幽閉されていたエグリゴリについ
ては、もう少し細かい情報がエチオピア語エノク書
という偽典に記されているのですが、何故かそれ
のコピーは取ってませんでした。一応、参考文献
がノートに書いてあったので、それを頼りにネット
で探したところ、現在はオンデマンド版として入手
できる事が判明。必要なのは10ページ程でしたが、
話に説得力を持たせるためにも、奮発して取り寄
せた次第です。これが本当に役に立つのは、次の
第六部になる予定です。